先日手相の話になった。
皆が、よく知っている生命線の話となり、
ドレドレと手相を見た。
私の生面線は長く、手首の皺にまでつながり、
手背をぐるりと一周して、もどって来るので、
永遠と生き続ける事になってしまうのだ。
それでは、まるで、死ぬ事がない「ドラキュラ」ではないか。
それに対して、園長先生は、なんと、はっきりと、生命線が途中で途切れてしまっている。
短命な手相をしていた。
正直、私は驚いたと同時に、きのどくになった。
そんなに短い生命線を今まで見た事が無かったからだ。
皆が、「わー、ミジカ!」と、驚きの声を出す中で、
「補助線があるから。」と園長先生は、むなしい、抵抗を続けていた。
すると、手相や運命に詳しい看護婦さんが、丁寧な言葉と
優しい声で言った。
「その補助線は車椅子の生活ですよ。」と。
園長先生は、一瞬、唖然となっていた。
10歳ともなれば、小耳症の患者さんは
手術室へ入り、緊張はしていても
麻酔の先生のいう事を聞いてくれる。
麻酔の先生が、[今から一本だけ注射するからね。」と、言うと、
注射する方を見ているが、素直に注射を、させてくれる。
それがすむと、後は、本当に何も痛くはない。
眠り薬を麻酔の先生が、点滴チューブの側管から入れて
3つ数え終わる前には、完全に眠ってしまえる。
でも緊張のあまり、涙を浮かべている子供もいる。
気管チューブ挿入後には、その涙が眠った閉じた目から流れてくる。
それで、ああ、緊張していたのだなとわかる。
今日の患者さんは落ち着いていて、涙もなかった。
患者さんにより反応は様々だが、
麻酔の先生はよく、そこを、わかっているから、
「お名前を聞かせてください。」
[何かクラブ活動をしているの?」
「好きなお勉強は何?」
などと、準備をしながらも、やんわりとお話をしてくれる。
これが患者さんをなごませる。
また手術室に入ると、有線放送の
オルゴール曲が
やさしく聞こえてくるので
随分、子供達もリラックス出来やすいように、なっている。
麻酔がかかるのも、その後の準備も、当院ではスムーズで早い。
年間を通じて、毎週3回もの小耳症手術の繰り返しだからこそのことだ。
今日も耳垂残存型小耳症の肋軟骨移植術だった。
8時間半の手術だった。
病室へ戻り、
手術記載を書いて、
昨日の手術した小耳症の患者さんの包帯交換を終了した。
またまた、今週も明日を残すだけとなってしまった。
早いものだ。
ほっとする一時だ。
明日は外来患者さんを診察しながら
ドイツへ行くための準備をしなければならない。