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永田小耳症形成外科クリニックと愉快な仲間たち

愉快な仲間たちの秘密の会話

これまで、私は、この四半世紀にわたり


1500症例を超える小耳症手術を行って来た。


 


私が東大で研修医の時はタンザー法での小耳症手術が行われていた。


 


タンザー法では、


耳輪、対輪、上行脚、下行脚のみしかないような


不完全な形の肋軟骨フレームを作り移植していた。


耳垂は、その裏も表も、全体に後ろへと移動していたために、


耳たぶの裏に、良い色の皮膚が隠れてしまい、


タンザー法のように簡略化された肋軟骨フレームを移植しても


耳の真ん中、すなわち、耳甲介の部分に,


ソケイ部や胸部より、皮膚を持ってきて移植していた。


この皮膚移植は、色が異なっていた。


 


また、耳の構造物の中でも次の部分は、作る事が不可能だった。


すなわち、耳珠,対珠、及びその間にあるU字型の珠間切痕、


耳の深み「耳甲介」、を上と下の2つに分けるように存在する耳輪脚、


は再建が不可能であった。


 


しかも、耳甲介には色の異なる植皮が行われ、


その植皮の科学的特性として、必ず収縮を引き起こし、


耳甲介は浅くなってしまい、耳の穴が無い事が丸見えの状態となっていた。


さらに耳おこし手術は、ソケイ部よりの皮膚移植のみで行われていたので、


耳が立たないばかりか、植皮の科学的特性として、


耳の裏で収縮をひきおこしてしまうために、


耳おこしは2回に分けて行っていた。


 


それでも耳は立たず、耳の裏からの収縮と


耳の真ん中からの収縮が加わる事で、


耳おこし後では、耳をおこす前の耳輪や対輪の輪郭が、悪くなり、


ぼんやりとした平らな耳となってしまった。


 


しかも、耳をはがして、その裏に皮膚移植しかしていなかったので、


耳をはがした時に、耳への血行が低下したままとなってしまい、


植皮部の収縮をも加わって、


5年10年と経過するうちに、耳に移植していた肋軟骨が融けてきて


ワイヤーが融けずに残るために、ついには、皮膚を突き破って


肋軟骨を固定していたワイヤーが、とび出て来るようになる。


 


それをすぐ抜かずにそのまま、放置していると、


飛び出したワイヤーを通じて皮下に細菌感染が長期に及ぶ事になり、


耳の中に移植されて存在していたワイヤーの近くの肋軟骨まで


融解してしまい、ついには、最終的に、あたかもネズミにかじられたような


耳の欠損が生じてくる。


下の状態が、その結果なのだ。


DSC03157.jpg


この作り直しの手術は以前に、このブログで示したとおりである。


 


下の写真では、


上の症例のようになっていく途中の段階である。


やはり、耳の外側上方が、融けてきている。


耳から毛も生えている。


耳の後ろの下から、耳おこしの時に、


三角皮膚弁を作り、それを、耳の後ろの、耳と頭の間に移動してカバーし、


その色の良い三角皮弁の両側、すなわち、耳の裏側と、


三角皮弁のあった耳の下の頸には、ソケイ部より、


色の違う皮膚移植が行われている。


だから耳たぶの下のほうの、頸には余分な傷がついていて目立つ。


すなわち、いずれにしても、


耳の後ろに皮膚移植だけがなされたものは


このように、血行が不足して、収縮の張力が長年の間に加わり続け、


移植肋軟骨が融けてくるのだ


このように、この写真の通り、百聞は一見にしかずなのである。



DSC04104.jpg

この症例の作り直し手術もすでにこのブログで、紹介した。


 


このように、耳を作る時に、耳に植皮術のみを行う手術は行ってはいけない


 


血行のある皮弁でカバーできたところは、収縮を起こすことは無い。


皮弁のみではカバー出来ず、


どうしても皮膚の表面積が不足するときには、耳の裏であれ表であれ、


血管膜で、カバーした上に、植皮を行うべきだ


血管膜の上の植皮では、収縮しない。


さらに血行もよいから移植肋軟骨も融けない


 


すなわち、血管膜と植皮とのコンビネーションは、


皮弁と同じ科学的性質を獲得して


収縮しないのである。


 


1500例の手術をしてきた結果、私が患者さんの体から学んだ事実である。


 


 


 





 


 


 


 


 

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アメリカで、小耳症手術を3回・オーストラリアで1回受けたが、このような結果となった。


耳の後ろには、明らかに色の違う皮膚が、移植されている。


アメリカのどこの施設でも作り直し手術は不可能だと言われ


オーストラリアから来日し


永田小耳症形成外科クリニックで手術となった。


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本来・耳のあるべき所を、赤マジックで書いて示している。


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術前のデザインを示す。


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左は摘出した耳の軟骨と、移植されていた肋軟骨を示す。


右は本日、新たに作成した3次元禄軟骨フレームを示す。


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耳軟骨・及び、移植されていた肋軟骨を摘出した状態。


さらに耳の後ろ側に移植されていた色の異なる皮膚は切除して、下においてある。


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3次元肋軟骨フレームを皮下に移植したところを示す。


今回の手術では、頭からの血管膜を使うことなく再々建が出来たので


半年後の耳立て手術時に使う事が出来る。


DSC04413.jpg


陥凹部にはガーゼを巻いて固定し、


耳を保護するために厚さ2センチの、レストンスポンジで周りを囲んでいる。


この上をガーゼでカバーする。