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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

癌を治療する病院では、術後の長期の生存率が問題となる。

術後の5年生存率、10年生存率などである。

もちろん生存率が高いほうが良いに決まっている。

そんなランキングをみると、がん患者としては、成績の良い病院へと集中したくなる。


だから、有名、癌治療の病院にとっては、生存率を上げることに必死になっている。

単純に考えれば良い事だ。


しかし、その裏に、重症な合併症を持つ癌患者や、

進行した癌患者が受診したの場合、

このような患者を、受け入れないことがある。


このような患者の治療が増えると、術後の生存率が低下するために、

治せる患者だけを受け入れるという操作がなされていることがある。

重症患者は、どこかへと、紹介されてしまう。


このようなことで、有名な癌治療病院が、術後の生存率を高くしていたとしたなら、

患者にとっては、本末転倒ということになる。


重症患者の癌治療の研究および進歩こそ

医学の発展のために最も必要なことである。


勘違いをしている超有名癌治療病院があるとしたら、

考え直すべきだ。


術後生存率と公表されている中に、このような操作があることも

患者さんは知るべきだ。


小泉改革のとき、平成23年まで、継続して医療費を削減するという法律が作られた。

病院側には、収入を減らし、患者側には、負担を増やす法律だ。

そして、医療崩壊が始まり、病院が次々となくなってきている。

受け入れベットは当然減り、救急車のたらいまわしが激増した。

お産が、遠くの病院までいけなければ出来なくなった。

小児科の激減も起きた。

それでもなお、

今回の春の医療改訂でも、減額となった。

小児科と産婦人科にはやや有利な配慮がなされた分

形成外科にとっては不利となっている。

すなわち、どこかを削って、どこかに増やす、が、全体としては医療費の減額という姿勢をとっている。

だから今年も、閉鎖する病院が、ますます増加するはずだ。

今年はもっとたらいまわしが増加することだろう。


公立病院では、公的補助があるものの、もともと赤字の病院が8割となっている。

財政が厳しい都市では補助金カットを行うと当然病院は閉鎖に追い込まれる。

一例を示すと、市立病院などは、たとえば、2億の赤字だが

市からの補助金が2億5000万円出るので5000万円の黒字だというところも具体的にある。

埼玉県の蕨市立病院がその例だ。税金を使わなければ赤字なのである。

別の例として、

さいたま市立病院は、市から10億円の繰越金をもらって、収支は1億円の黒字になっている。

民間病院で言えば、9億円の赤字であるが、

公的病院としては、繰越金は収入なので赤字ではないと言う。


それでも、このような病院は非常にまれである。


財政が厳しい自治体となると、このような繰越金などの高額は望めない。


先ほど述べたとおり、このような計算をしても赤字という公立病院が8割となっているのだ。


ましてや、私立病院では、補助金などはないので、

経費削減を行い安全を保障するための設備の維持すら困難となりつつあるばかりか

倒産に追い込まれている。


もはや地方ばかりでなく、大都市の中心部の病院でも

最近、東京のど真ん中にある国立がんセンターの麻酔科の医師が集団で辞表を提出した。

国立がんセンターが、麻酔科の医師をアルバイトで雇わなければならなくなった。

あまりにも薄給で、アルバイトも禁止では、医師は家族を養えないのだ。

同じようなことが、大阪国立循環器センターでも、おきた。

かつて国を大表する病院と言われていたところだ。

こうして医療レベルが低下していく。

東京都立病院などには、同じ理由で、大学医局から医師を派遣したがらない傾向となっている。

ましてや研修医制度の変更で、大学に残る医師が減少したから

大学の医局員自体が減少したのだ。

公立病院へ医師を派遣する余力の人員がいないのだ。

国の政策のすべてが、変更されるたびに、悪い結果をもたらしている。が

いつも誰も責任を取らない。

厚生労働大臣は、医学の素人だから、現場が理解できない。

医師数は少ないから、政治家に立候補しても落選する。

看護士のほうは、人数が多いから。当選する。


国は、倒産によって病院の集約化が行われていると言い切っている。

そもそも、先進国の中で人口比の医師の数は日本はなんと20位にも入らない医師不足の国だ。

GDP第2位の国なのにだ。

いまや日本人の病院にかかる医療費が、物価の安い中国と同じとなっている。

もちろん中国では、お金のない人は病院にかかれない。


経済的に成り立たない医療は、永続できない。




アメリカの医療費は、日本の10倍以上だ、疾患によっては20倍を超えている。

日本の物価はアメリカよりも高いのにだ。


アメリカでは、3割の人が、お金がなくて、病院にかかっても、ランクの低い病院で

最低限の治療しか受けられないか、病院へかかることすら出来ない。


いかに最低の費用で、日本人が皆、医療を受けられるかということがわかるが、

そのしわ寄せが、医療機関にきているのだ。

これまでは、医療従事者の献身的な働きで安い治療を受けられたが

全ベットが埋まっており忙しい病院においても、倒産するくらいの費用しか出なければ、

医療従事者の善意だけでは、患者さんを救うことが不可能だ。


不採算部門だからと切り捨てると、その疾患の患者さん達は、

あなたの病気は、不採算のまれな病気ですから

死ねといわれたのに等しいことになる。


このように、医療費は、通常の黒字を出せという経済原理問題とは

全く性質が違うことだと言う認識が国に欠如している。


道路ばかりにお金をかけてきた日本は、これを、医療福祉へまわすように転換しなければならない。

アメリカと日本では、医療費と道路費用との比率が逆転している。


つまり日本は、道路費用により医療崩壊を起こしている。


政治家を選ぶとき、道路族に投票してはならない

自分の命が惜しければ。