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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

ある一日のこと。
朝からドタバタ家の中を駆けずり回り、
洗濯だ、掃除だ、ごみ出しだ・・・
ドタバタと家を出て戸田公園駅で買い物を済ませ
今日はお昼近くになってクリニックにたどり着いた。

朝から局所麻酔の手術を済ませ、回診も終わって、
院長はむっつりと新聞など読んでいる。
今日はえらく機嫌が悪い。
こちらを見ようともせず、話しかけても上の空。

なんだ、なんだ。
こういうときは遠巻きにして、下手に触らぬほうがよい。
午後は外来があるのでとりあえず昼食の支度。
長崎出身の院長なので、今日は「ちゃんぽん!」
いつもは近くのスーパーで買うのだけれど、今日は違う店で買ってきた。
いつもと違う袋なので、よくよく読んでみたら
あら
麺をゆでなくちゃ食べられない!
小さい電気コンロ1個だけしかないので、
麺をゆでて、肉と野菜をいためて、スープを入れて、
いつもの倍も時間がかかる。

ふと気がついて、院長に
「ねえ、お腹減ってるの?」と聞いてみたら
「減ってる」と。

きゃあ大変!!!
かつての夫婦喧嘩の原因の8割は「飯が遅い!」
腹が減ってタクシーの運ちゃんを怒ったこともある人だから
逆を行けば食べ物さえあれば8割は大丈夫。

後の一割は邪魔をしないでほって置き、最後の一割は調整不能。

とりあえず大慌てでちゃんぽん作って食べさせ、
院長はその後
いつもどおりに、よく喋るようになったのだった。
今日は土曜日。

外来は、小耳症の新患の患者さんが3家族。

説明時間を要した。

いろいろなタイプの小耳症の患者さんなので、

それぞれに手術法が異なる。

すべての患者さんに共通するところと

個別の手術法の違いの各論とをすべて理解していただくための説明は、

非常に骨の折れることである。

なぜ、このような困難な手術となるのか、

一から説明するのだから、時間がかかるのは

それほど、小耳症の手術が奥の深い手術だからこそである。