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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

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この患者さんは耳垂残存型の小耳症に対して、

某有名病院で、シリコンを移植されて耳を作られたものの、

立体感の無い平らな耳で、

当院に、耳の作り直し手術を希望されて来院した。

このようなシリコンを入れて作った耳のことを「シリコン耳」と言う。

その術前の状態である。

頭の傷は、すでに血管膜を使用されていることを意味する。

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立ってもいない耳を無理やり起こして、耳の後ろを見ると、

足の付け根からの色の違う皮膚が、移植されており、

写真でわかるように、そこからは、陰毛が、大量に生えている。

手術した医師は、大人になったら、

陰毛が生える可能性のある皮膚だと予測もしなかったのだろうか?

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手術のデザインを示す。

耳の中央部にも、陰毛が生えた皮膚が、移植されていたので、切除する。

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耳たぶの裏の良い色の皮膚を、耳の中央部の表に引き出して使用するデザインを行った。

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耳の中央部の、色違いで、陰毛の生えていた皮膚を切除したところ。

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耳たぶの表の皮膚を皮弁として、はがし前方に反転したところ。

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耳たぶの裏と、耳たぶの裏にあった側頭部の色の良い皮膚を、

皮下組織をつけたまま、血のかよった生かした状態で、

耳の中央部の皮膚欠損部に移動したところ。

このような皮弁のことを皮下茎皮弁「ひかけいひべん」と言う。

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左は、新たに作成した3次元肋軟骨フレームである。

真ん中は、摘出した、「シリコンフレーム・メッシュ付き」

現在はアメリカで、もはや発売禁止となっている。

右は、型紙。

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3次元肋軟骨フレームを、皮下に移植したところ。

立体的な耳となった。


半年後の、耳立て手術時に、

耳の後ろの陰毛の生えた色の違う皮膚は、

切除して同じ色の皮膚を移植する予定だ。

なおかつ、耳の後ろから耳を支える半月状肋軟骨ブロックを移植して本当に耳を立て、

頭から2枚目の血管膜を起こし、耳の後ろをカバーして、

肋軟骨ブロックを生かし、かつ、血行の補強を耳の後ろから行い

そのうえに、頭から薄い皮膚を採取して移植すると同じ色の皮膚となる。

その1

このブログの写真は小耳症治療をご理解いただくために、参考資料として掲載させていただいています。
それぞれの症状によって、手術結果は異なりますのでご了承ください。

小耳症手術による合併症
一過性の顔面神経麻痺 浅側頭動・静脈の血行不良による植皮の生着不良 感染、移植軟骨の露出 気胸 術後肺炎
縫合不全 ハゲ 床ずれ その他
上記のような合併症が生じた場合は、症状に応じて対処致します。場合によっては再手術を行う可能性もあります。


その2

このブログの写真は耳介形成術をご理解いただくために、参考資料として掲載させていただいています。
それぞれの症状によって、手術結果は異なりますのでご了承ください。

耳介形成術による合併症
 感染、 縫合不全 その他
上記のような合併症が生じた場合は、症状に応じて対処致します。場合によっては再手術を行う可能性もあります。