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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

耳の形態を認識するためには、

耳のプロポーションを認識する事が重要だ。


人の耳は、動物の耳の形態の中で、最も複雑な形態をしている。


基本的に事細かな部分が複雑な関係を保ち、

それぞれの部位に、解剖学的な名前が付けられている。


形成外科医が耳を学ぶ時、

その名前を覚える事にばかり集中して

名前を覚えてしまったら、

あたかも耳の形態を知ってしまったかのような錯覚をして満足している。


しかし、

しばしば、それは、全く間違っていることが多い。


なぜならば、とんでもない形態の耳を再建されて、

作り直しが必要となって来られる患者さんがあまりにも多いからだ。


形成外科医にとって、最も重要なことは

各パーツが、それぞれ、どのような距離を保っているのか?と言う事である。

それぞれがどのような割合を保ち、

全体を構成しているのか?という事である。


耳のプロポーションとして

「各パーツがどのような関係を保ちながら構成されているか?」という事が、重要なのだ。


あらゆる角度から、

自分で耳の絵を描いて見る事で

複雑な形態を立体的に正しいプロポ-ションとして

認識できるようにならなければならない。


「正常な耳のプロポーション」に関する論文として

1978年の

「クリニックス・イン・プラスチック・サージャリー」に記載されている

「ハーレ・トーレス」の論文を、まず、全て記憶しておくべきだ。


すなわち、「1パーセント誤差範囲の単位」まで、プロポーションを間違いなく描けるように

少なくとも、耳の絵を100回ほど描いてみることだ。

描いた耳が1パーセント誤差の範囲に適合しているのかを検証すべきだ。


耳の再建術は、形成外科分野の中で、最も困難な手術なのだ。


耳を作ろうとする形成外科医の基本は、耳のプロポ-ションを1パーセント誤差範囲で

立体的に認識できる事だ。


厳しい修行が必要となる。