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永田小耳症形成外科クリニックと愉快な仲間たち

愉快な仲間たちの秘密の会話

小耳症手術を行うと、

手術後は、がっくりと体は疲労している。


特に、頭から血管膜を起こしてくる手術は、

微細な出血点のみを、逐一、電気メスで止血しながらの手術となり、

根気を要する手術となる。


肝心な血管の直径は1ミリ程度であり、

これを傷つけることは決して許されない。

皮膚への栄養血管として血管の本管から、0・1ミリの動静脈の枝が無数に出ており、

これらのみを、本管を傷つけないように、

逐一電気メスで焼かなければ出血は止まらない。


頭から採取する皮膚は、傷跡にならないように、

かすり傷程度の薄さ、

すなわち紙1枚の薄さで、正確にメスで採取しなければならない。

もし、厚く皮膚をとりすぎると、毛根を傷つけ禿になるので、

呼吸を止めてメスを進めなければ、手ブレを起こしてしまう。

これも、神経を要する手技となっている。


耳立て手術の際には、

手術台に横たわる患者さんの耳の後ろから

覗き込む無理な体勢で、非常に細い糸で200針ほどもの縫合を行わねばならない。

首と腰を、捻じ曲げながらの無理な作業なので疲労するのは当然のことだ。


小耳症手術では、事細かな、

耳の微細構造間のプロポーションが1パーセント誤差範囲で規定される。

肋軟骨を4本採取し、採取後にも胸が変形を起こさないように

すべての肋軟骨膜を、肋軟骨本体から、はがして生体に残さなければならない。

しかも、残した肋軟骨膜を、4ミリおきに細かな糸で再び縫合しなければならない。


4本の採取した肋軟骨から少なくとも

6個のパーツを作り、

医学用の細いステンレスワイヤーを使い、

85箇所もの固定を行い、彫刻等で削りながら

立体的な耳の形のプロポーションを作成する。

出来上がりが1パーセント誤差範囲のプロポーションでなければならない。

偏執狂的なほどの、正確さが要求される作業である。

材料が限られるために、やり直しは許されない。


この3次元の形とぴったりの形態を

生きた組織ですべてカバーできるように

設計することこそ、さらに、困難となる。


これらを実現するために、設計と彫刻の能力と、芸術性をも要求される。

また、厳しく過酷な緻密さの仕事を、8時間から10時間という長時間

妥協することなく緊張し続ける忍耐力が必要である。


手術後に肩がこったり、腰を痛めたりしないような

体力と、気力が必要だ。


芸術的才能が無い人には、決して向かない手術だ。