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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

先天性に耳が存在しない小耳症は、

全く耳の痕跡すら存在しない無耳症から

ほとんどの耳の形態がそろっているがカップ耳といわれる状態に至るまで

術前の形態は無限に異なっている。


だから、それぞれ術前の形態に応じた異なる手術法を

オーダーメイドで行わなければならない。

しかも、再建する耳の形態は体表の中で最も立体的に複雑な形態をしている。

よって、再建術は困難を極める手術となっている。

形成外科医が手術法を習得するためには、最も長期の学習期間を要する分野となっている。

年間に数例しか小耳症手術を行っていない大学病院では学ぶことさえ困難だ。


しかも小耳症発生率が日本中あわせても

毎年100例程度しか発生しないので

10歳という手術年齢に到達した患者さんがたったの100名しかいない。


永田小耳症形成外科クリニックでは小耳症の手術件数が年間140件を超えている。

永田法では半年間の間隔を置いて2回の手術で耳が完成する方法なので

70耳を毎年再建している。


永田法では、1回目の手術は肋軟骨を耳の形態に作成して移植する手術であり

半年後の2回目の手術は再建した耳を30度の角度で立てる手術である。


従来の耳を立てることができない手術法であるタンザー法やブレント法を

いまだに行っている形成外科医は

2回目の耳おこし手術の方が簡単だという誤解があるが。

この認識は全く間違っている。


通常の耳垂残存型小耳症では

2回目の耳立て手術のほうが手術時間もかかり、手術手技も困難だ。


いまだに小耳症で再々建を求めて永田小耳症形成外科クリニックへと

来院される患者さんが減少していないのは

このような事情が絡み合っているためだ。