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小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

またまた台風15号が日本へ向かっている。

前回の台風で大被害を出し、

山間部に出来た土砂ダムがある紀伊半島が再び危機に瀕している。


水位が上がると土砂ダムが決壊し土石流が発生する恐れがあるという。

科学技術が発展した現在でも、山奥に出来た土砂ダムの処理が全く行われなかった。

日本の地形の弱点とも言える。


逆の視点から見ると、水に恵まれた国でもある。

治水目的でダムを建設し水力発電を増やすことが可能だ。


弱点を克服することで豊かな国へと変貌できる。




しばらく前の外来日だが、診察室で小耳症の患者さんが泣き出した事がある。
これから手術と言う事で、まだ小学校の低学年。


院長は声がでかいので、本人はその気じゃなくても、
怒っている、
と思われることがある。
そうじゃなくても、子供にとっては病院は怖い所なんだけど。
手術と聞けば、怖いのはあたりまえだよね。

でも、子供だけじゃなくて、
親御さんたちにも手術を怖がる方達がいる。

子供に耳を作ってあげたいと思うからこそ、
わざわざ永田小耳症形成外科クリニックへおいでになったのだろうが、
本当にこの子に手術を受けさせるのが、
いいのだろうか、悪いのだろうか、
悩み続けるのが、
それも親心と言うものだろう。

院長は、そんな時、
「2階を見ておいで!
 入院中の子供達が楽しそうにしているから!
 泣いてる子供なんか一人もおらん!」
とさけぶ。

2階を御案内していくと、
キッズルームで子供達が遊んでいる。
「この子は手術後4日目の子。
 この子は昨日2回目の手術をした子。」と、
聞いてお母さんはびっくりされる。
みんな元気そうだからだ。
ただし、2回目の手術をした子は、確かに今朝、泣いていた。

「ねえ、手術痛かった?」聞くと
「耳は痛く無かったよ。胸は痛いよ」と
誰かがあっけらかんと答えてる。

向こうから女の子がやってきたので、
「これから手術の子だよ」と紹介すると、
その女の子は見学者の女の子の肩に手を置いて、

「きっと手術をしてよかったと思うよ」と
言った。

こんな一言を聞くと、
自分が無力でも、
「小耳症にかかわってよかった」と思えてくる。

この一言は、見学のお母さんの背中を、大きく押してくれたようで、
「よく考えて、また来ます」と明るい顔で帰って行かれた。