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永田小耳症形成外科クリニックと愉快な仲間たち

愉快な仲間たちの秘密の会話

専門ナース制度を導入しようと言う事が論議されている。

つまり、看護士が「麻酔の維持管理」や「皮膚表面の縫合」などをも行えるように

専門看護制度を新たに創設しようということである。


私は、これまでヨーローッパや北米などの形成外科学会や大学からの依頼により

「教育目的の小耳症のデモンストレーション手術」を数多く行ってきた。

この経験において、日本とは異なり、専門ナースが実際に

全身麻酔の維持管理や皮膚表面の縫合を行っているのを実際に見てきた。

日本とは全く異なる高度技術を持つ看護士の存在があった。


このような制度を導入しようと日本で論議され始めているが

本当に可能とするためには何が問題となるのだろうか?


全身麻酔の維持管理は、患者さんの生死にかかわることであり

皮膚の縫合が、うなく行えなければ手術そのものの出来栄えに大きな影響をもたらす。

つまり通常の看護よりはるかに責任重大な問題を含んでいる。

失敗すれば裁判になる。


責任が重大になれば結果に対する責任を重く負わされることになる。

しかし、現在の日本の状況のままでは、

看護士の誰も現在よりもさらに責任重大な仕事をやりたがらないのが実情だ。

たとえば日本における助産婦制度の資格をとっても

通常の看護士の給与に雀の涙ほどのアップしかないのが実情だ。

きつくて重い責任を負わなければならない仕事を給与のアップなしに誰もやろうとはしない。


欧米における専門看護士は、通常の看護士よりも給与が2倍ほどに跳ね上がる。

だから、努力して責任の重い仕事ができるような努力を惜しまない。

このような制度を導入するには、医療費全体を現在の2倍に高くする必要がある。


医師においても看護士においても

専門性が高ければ高いほど、欧米においては医療費が格段に高く設定されている。


小耳症手術を例に取ると、

フランスでは日本の5倍の医療費、アメリカでは日本の15倍の医療費がかかる。

そのような制度で初めて専門看護士に高い給与を払う事が可能となっている。


アメリカでは大腿骨骨折で1ヶ月入院すると1000万円かかる。


その財源はどこから来るのだろうか?

アメリカではGDPの15パーセントを医療費につぎ込んでいる。しかし

アメリカでは、お金のない人は20パーセントも病院にかかる事すらできない。

フランスでは、消費税が20パーセントである。


アメリカで救急車を呼ぶと利用者は8万円も払わなければならない。

日本では無料なので、3分の2は救急車を呼ぶ必要がなかった人たちが乱用している。


日本ではGDPの8パーセントしか医療費に回していない。

欧米に比べ財源が圧倒的に少なく、医療費が圧倒的に安い日本において

同じシステムを取り入れようと言うことは

明らかに、博愛に満ちた犠牲的精神だけでつらい仕事を医療従事者に負わせる事にほかならない。

ドライな現代の看護士がこんなことを積極的に行うはずがない。


現代の医師においても、同じことが言える。

そもそも、日本の医師は労働基準法をはるかに超えた労働時間を強いられている。

医師が労働基準法のとおり看護士と同様の時間内に働ける事を可能にするためには

現在の医師数を3倍に増加する必要がある。


すると、医療費を3倍以上にアップしなければならなくなる。

更に教育や養成の費用を捻出するためには5倍の医療費が当然必要となる。


外科系の医師数が減少の一途をたどっているのが実情の日本医療は

すでに崩壊している。

後継者を育てるための医療費などが全く得られないからでもある。

また、日本の通常の病院では、医療費を払わない患者数が平均10パーセントほどいる。

だからといっても病院は税金を全額支払わなければならない。

支払ってもらっていないからその分税金を安くしてくれるように頼んでも

税務署は、徴収努力が足りないからだと突っぱねる。


さらに、病院は物品購入に対して消費税を支払っているのに、

その分の控除すらない。


ホテルを建設するよりも設置基準がはるかに厳しい病院なので、

病院のほうがホテルよりも高い設置費用がかかる。

ホテルよりも病院のほうがはるかに専門職数が多いので人件費がはるかにかさむ。

なのに、日本では病院入院費のほうがホテル宿泊費より安く国によって設定されている。


大学病院で、小耳症手術を受けたものの不幸な結果となり

クリニックで困難なやり直しをしているのにもかかわらず

クリニックのほうが入院費用が大学病院よりも安く設定されている。


アメリカでは、病院入院費用がホテル代に比べてはるかに高いので

患者さんはどんなに重症の手術を受けても4日ほどで退院して

傷が治るまでの期間ホテルから病院の外来へ通院するのが常識となっている。



現在の日本は低負担で中福祉・中程度医療を医療従事者の犠牲の元で

ようやく保っているが、それもまさに崩壊の危機となっている。


介護士の給料が少なすぎるので、誰も介護士になりたがらない、からといって

介護料を引き上げた。が、まだまだ安すぎると言う。

もし介護士の給料を看護士より高く設定したら、誰も看護士にはならないだろう。


高度医療や、高度福祉を求めるのであれば高負担が必要となる。

少なくとも消費税は20パーセント必要だ。


ちなみに、世界の中で国民が最も幸福感が高い国は、デンマークである。

そのデンマークでは、

消費税が25パーセントで、所得税が37パーセント、年金税が8パーセントとなっている。

だから、教育費や医療費は無料なのだ。
















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