fc2ブログ

小耳症(永田法)の軌跡と新たな出発

永田小耳症形成外科クリニックは、院長・永田悟医師の逝去にともない、令和4年1月に閉院いたしました。このブログと、永田法による小耳症手術は次世代に引き継がれ、現在も行われています。小耳症手術をご検討の方は、ぜひご覧ください。

正常な耳介が体表の中でもっとも複雑な形態をしているため、

小耳症に対する耳介再建手術は、

形成外科分野で最も困難な手術分野となっています。

しかも正常な耳介は、動静脈が発達し血行が非常に良好です。

ですから、再建された耳介も、血行が良好な耳介を再建することが

再建された耳介にとって最も重要な事です。

血行が不十分な従来の再建法で手術が行われると

再建された耳介は、5年10年と経過すると融けて委縮変形をおこしてしまいます。

この原因は主に耳を立てる手術の際に起こります。

ですから耳立て手術の際に血行を増強する手術法が絶対必要となります。

国際小耳症学会においては近年理解が広まってきましたが、

この点が、国内ではまだ形成外科医にも患者さんにも理解が浸透していないため

小耳症の耳起こし術において、血行の点から考慮すると、

まだまだ不十分な手術が行われている場合が多いようです。

すなわち、耳の後ろから、軟部組織弁を起こして耳介の後ろを被覆しても、

その組織には、しっかりとした動脈が存在しないため、血行が不十分となります。

さらにその上に移植した皮膚は収縮を起こしますから。

血行が悪くなってしまいます。すると、

結果として5年後10年後に再建した耳介が委縮変形を起こします。

いまだに、日本では従来法の耳起こしのままの保険システムとなっているためもあり

そのような手術を行われている原因ともなっています。


すでに国際小耳症学会で広く行われるようになった最先端の手術法は、

術後収縮を起こさず、血行を良くするために、

側頭部から動脈と静脈が最もしっかりと走行したTPF「浅側頭動静脈を含む膜」

で肋軟骨ブロックを耳介の後ろへ移植し耳を立て、耳介後面をTPFで被覆し

その上に植皮を行うと、術後収縮を起こさず血行も豊富となった耳介形成ができます。

すなわちこれが、永田法です。


なかなか通常の患者さん達に理解していただけるのには難しい内容なので

ホームページに「融けない耳を作るには」との項目を作り

詳しいイラストを掲載しましたので参考にしてください。

























管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
https://acrejuvenation.blog.fc2.com/tb.php/4959-5e04239f